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季節は巡り、また今年も春がやってきた。
俺も新しい季節の訪れとともに、心機一転大学に通っている。慣れたことではあるが、新しい年だというだけで新鮮な気分になるというのは実に現金なものだ。
しかし、幾ら新しい年とはいえ、四年に突入しようとする一人暮らしのほうには最早マンネリ感しか感じない。食事を作ることにもいい加減疲れてきて、最近は自炊をさぼって弁当などで済ませることも多くなってきた。
今日も駅前のスーパーでカツ丼を買い込み、近くのバス停で俺の家近く行きのバスが来るのを待つ。
すると、初老のふくよかな女性が、俺が腰掛けるベンチの隣に座ろうとした。
別にそれだけなら少し隅に身を寄せるだけだが、そのときたまたま隣に買った弁当を置いていたので、慌てて手を伸ばしてどけようとして・・・。
盛大に手が滑った。
「あ」
と思う間もなく、俺の手からビニール袋が外れ、隣の席の真ん中ほどにぽすりと落っこち
間髪置かず、女性が座っ・・・
ぐしゃ
「・・・・・・」
「・・・・・・」
今俺は家につき、ヒッププレスされたカツ丼を食うかどうかで真剣に悩んでいる。