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「そろそろお肉焼こうかー」
ぼんやりと、遠くから友人の声が聞こえてくる。
小学校から仲良くしている友人の一人だ。
・・・・そうか。今日は古い友人と河原にバーベキューに来たんだったか・・・・
「玉ねぎとかキャベツとか先に焼かなきゃ」
「コーンが先だろ?」
「ウインナーだよ」
ワイワイと楽しそうに料理をつくり上げる友人たち、それを少し遠巻きに見ている俺。
そうだ。昔から俺は、なにごとにも一歩引いて眺めているようなタイプだった。
そんな俺だが、友人たちは温かかった。干渉するでもなく、放っておくでもなく、ちゃんと俺の心地いい距離をみんなが取ってくれる。
ありがたいな。単純にそう思う。
俺の青春に入る時期を彼らと過ごせたことに、今更ながら深い感謝を抱く。
そうして、俺がぼんやりと昔を懐かしんでいると、一人が火箸を持って駆けてきた。
ああ、一番仲がよかった幼馴染だ。いつも明るくて場を和ませてくれるタイプの、いわゆるムードメーカー。
彼は手に持った火箸を大きく掲げ、そして言った。
「おい!これ焼いたら絶対美味いって!」
掲げられたのは、どう見ても見間違いようない代物。
犬のかり○とう。(表現を柔らかくすることをお許しを)
「・・・・・・」
「あ、いいんじゃない?焼いちゃえ焼いちゃえ」
「・・・・・・」
「おーし、投下ー。うわ、すげえじゅわーっていってら」
「・・・・・・」
「そろそろ焼けたんじゃない?いっただっきまー」
「やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
自分の悲鳴にハッとする。
時刻は午前三時。
ここ最近見たうちで最も恐ろしい悪夢でした。
あー、汗だく・・・